ウーバーイーツ配達員の税金

2024年04月17日

 家にいながらお店の料理を届けてもらえるフードデリバリーサービスのウーバーイーツは2016年9月に東京でサービスを開始しました。

 ウーバーイーツの配達エリアは拡大を続け、2021年9月には福井県、徳島県、鳥取県、島根県でもサービスが開始され、今では全国47都道府県をカバーしています。

 エリアの拡大とともに登録している飲食店の数も大幅に増えています。

2019年6月に登録店舗数が1万店を超えたウーバーイーツは、2021年5月には10万点を突破しました。

最近ではコンビニの商品なども届けてもらえるようになり、さらに便利さが増しています。

2020年4月の感染症流行拡大による緊急事態宣言が発令された際には、外出自粛と飲食店の休業により需要が高まり、多くのアルバイトなどの仕事が減ったこともあり、配達員の数が大幅に増えました。

ウーバーイーツの配達員は登録すればすぐに配達を開始でき、自分の働きたい時間に稼働できます。

シフトが決まっているアルバイトなどに比べて自由な働き方ができる点が魅力です。

 2020年9月に税理士事務所を開業した筆者にとっても、収入の少ない開業当初に空き時間に働くことのできる配達員の仕事はありがたいものでした。

 配達員の仕事をすることでたくさんの飲食店に行き、たくさんのお家を訪問することで、今までは知らなかった街の様子や人々の様子を知ることができ、社会勉強にもなりました。

 そこで、配達員として働いた経験を何かしら役に立てたいと思い、配達員が確定申告をする際に参考になりそうなことを文章にまとめることにしました。

 ウーバーイーツの配達員は、ウーバーイーツの会社に雇用されている従業員やアルバイトではなく、業務委託という形態になっていて、それぞれが個人事業主になります。

 個人事業主というのは、会社員のように給料から所得税が天引きされて精算される仕組みになっていないので、自分確定申告をする必要があります。

 確定申告というのは、収入金額から必要経費を差し引いた金額を基に税金の計算をして税務署に申告するものですが、どのようなものが必要経費になるのか、どうやって税金の計算をするのかなど、初めての方にはわかりづらいところが多いのではないでしょうか。

 配達エリアが急速に拡大している背景もあり、今年から初めてウーバーイーツ配達員の仕事を行っているという方も多くします。

 これまで会社で税金の計算をしてもらえていた人にとって、いきなり個人事業主だから確定申告が必要だと言われても、何から始めていいのかわからないというのが正直なところではないでしょうか。

 初めての確定申告は少しハードルが高いかもしれませんが、一度経験するとどんな風にするのかがわかってきます。

 最初に基本的なことを知っておくと手続きがしやすくなります。

目次

第一章 ウーバーイーツの収入は確定申告が必要

   1 確定申告とは

   2 確定申告の計算期間

   3 配達員としての収入は確定申告が必要

   4 青色申告を行う場合の確定申告までの流れ

   5 所得税の計算方法

第二章 必要経費になるもの、ならないもの

   1 必要経費になるもの

   2 必要経費にならないもの

第三章 青色申告とは

   1 青色申告特別控除とは

   2 65万円の青色申告特別控除が受けられる要件

第四章 会計ソフトで帳簿を作成する

   1 開始残高の入力

   2 売上金額の入力

   3 必要経費の入力

第五章 確定申告の手順

   1 確定申告書作成の流れ

   2 所得控除

3 確定申告書の作成及び提出方法

第六章 質疑応答事例


第一章 ウーバーイーツの収入は確定申告が必要

1 確定申告とは

 所得税の確定申告とは、1年間の所得(売上から経費を差し引いた利益)に基づいて所得にかかる税金を計算し、計算結果を「確定申告書」により税務署に提出する手続きです。

2 確定申告の計算期間

個人事業の会計期間は1月1日から12月31日までです。

 この1年間の収入や必要経費などを計算して確定申告書を作成し、翌年の2月16日から3月15日までの間に税務署に確定申告書を提出します。

3 配達員としての収入は確定申告が必要

 ウーバーイーツの配達員収入は、自分で計算をして確定申告を行います。

 基本的には確定申告が必要ですが、給与所得者が副業で配達員を行っていて給与以外の所得が20万円以下のときなど、確定申告が不要の場合もあります。

 会社に雇用されていて給与をもらっている場合には給与から所得税が源泉徴収されていて年末調整によって税金の計算が完了するので確定申告が不要です。

源泉徴収というのは、会社が従業員に給料を払うときに、あらかじめ所得税を天引きしてから支払う制度です。

会社は源泉徴収した所得税を従業員に代わって税務署に支払うので、従業員は自分で所得税の計算をして税務署に納める必要がないのです。

一方、ウーバーイーツの配達員は個人事業主として業務を請負う形態になっています。

配達員の報酬を支払うウーバーイーツの会社は、支払うときに所得税を源泉徴収しないので、配達員は自分で確定申告をして所得税を納めます。

 ウーバーイーツの配達員の中には、配達員を本業としている人もいれば、会社員をしながら副業として配達員をしている人もいます。

 ここからは、配達員の収入を本業としている場合など、主に「事業所得」として確定申告する方に向けて説明していきますが、フルタイムで会社勤めをしながら空いた時間に配達を行っているなど「雑所得」となる副業の場合にも収入や必要経費の計算方法は同じです。 

 ここでいう「所得」とは、売上(収入)から、その収入を得るためにかかった経費を差し引いた金額のことをいいます。

 確定申告で行う所得税の計算をするにあたっては、所得をその種類ごとに分けて計算します。

 個人事業が主要な収入となっている場合にはその事業から得た所得は「事業所得」、本業である会社勤めをしながら空いた時間に配達員をしているという場合には「雑所得」に分類されます。

 事業所得と雑所得の違いについて少し説明しておきます。

 事業所得というのは、個人で事業を行っている人がその仕事だけで生計を立てている場合など、それが主要な収入となっている場合の所得で、あとで述べる「青色申告」ができる他、損失(赤字)が出た場合に、事業以外の所得からその損失額を差し引くことができます。

 一方、雑所得というのは、会社員として勤務しながら、配達員の仕事を会社での勤務が終わった後や休日などに副業として行っていて、その仕事で生計を立てているなど、主要な収入とはいえない場合の所得です。

 事業所得になるか雑所得になるかは、本業か副業かという言葉だけでは判断できません。

趣味の範囲を超えないような副業だと事業所得としては認められませんが、会社員の収入以上に副業でも稼いでいるなど、それが主要な収入となっている場合には事業所得になります。

4 青色申告を行う場合の確定申告までの流れ

 事業所得がある場合には、税務署に申請をして、一定の要件を満たせば「青色申告」という制度を使うことができます。

青色申告以外の申告を「白色申告」と呼びます。

 青色申告を行うには、次の手順が必要です。

(1)税務署に開業届と青色申告承認申請書を提出    

  • 売上と必要経費の金額を会計ソフトに入力するなどして帳

 簿に記帳します。

  • 確定申告書の作成

青色申告をしない場合(白白申告)は、領収書を手集計して(3)の確定申告書の作成のみを行うこともできます。

青色申告については、第三章でくわしく説明します。

5 所得税の計算方法

 事業所得にかかる所得税を自分で計算して納めるのが確定申告です。

 所得税の確定申告ではどのように税金を計算するのかと言うと、まず売上から必要経費を引いて所得金額を算出します。

さらにそこから、所得控除(社会保険料控除、生命保険料控除、扶養控除などの所得から差し引かれる金額)を差し引いて、「課税される所得金額」を算出します。

その課税される所得金額を基にして納める税金の計算をします。

この流れを図にしたのがこちらです(国税庁ホームページより引用)。

 配達報酬が年間300万円、配達に必要な経費が50万円だったとすると、差し引き250万円になります。

 あとで述べる「青色申告特別控除」65万円を適用すると、250万円から65万円を引いた185万円が所得金額になります。

 ここからさらに社会保険料控除、扶養控除、基礎控除などの「所得控除」を差し引きます。

 社会保険料(国民健康保険や国民年金など)の年間支払額が70万円で他の所得控除が基礎控除(一律48万円)だったとすると、所得控除の額は70万円と48万円を足した118万円になります。

 先ほどの所得金額185万円から所得控除の118万円を差し引いた67万円が課税所得金額になります。

 この67万円に税率をかけて税金の額を計算します。

 所得税の税率は課税所得によって変わりますが、67万円の場合の税率は5%なので、67万円の5%の 33,500円が所得税の額になります。

 この金額に2.1%の「復興特別所得税」を上乗せした34,200円が納める所得税の額になります。

以上が、確定申告での税金の計算の流れです。

 これを表にすると以下のようになります。

 配達員としての売上・・・3,000,000円

 配達に必要な経費・・・・ 500,000円

 青色申告特別控除・・・・ 650,000円

 所得金額・・・・・・・・1,850,000円

 社会保険料控除・・・・・ 700,000円

 基礎控除・・・・・・・・ 400,000円

 所得控除の合計・・・・・1,180,000円

 課税される所得金額・・・ 670,000円

 算出される所得税額・・・ 33,500円

 復興特別所得税額・・・・ 703円

 申告納税額(納める税金)  34,200円(100円未満切捨て)

確定申告を行うためには、まず最初に売上から必要経費を差し引いて所得金額を算出します。

そのためには必要経費となるものにはどういったものがあるのかを確認しておく必要があります。

次の章では、必要経費についてみていきます。

第二章 必要経費になるもの、ならないもの

 ウーバーイーツの配達員収入の税金を計算するには、収入金額から必要経費を差し引いて所得金額を算出する必要があります。

 必要経費というのは、事業を行う上で必要な支出です。

 ウーバーイーツの場合だと、配達をするために必要な物を購入した場合の代金などが必要経費になります。

 自転車やバイクのようにそれがなければ配達できないものを買った場合や、自転車の修理代やバイクのガソリン代などのように配達する上で必要な支出がこれにあたります。

1 必要経費になるもの

(1)自転車やバイクの購入費

 配達に必要な自転車やバイクの購入費用は必要経費になります。

 バイクの購入時に加入する自賠責保険や自転車やバイク用のヘルメット、盗難防止用のチェーンなども入ります。

 ただし、購入費用が10万円を超えるものは「減価償却資産」として、全額をその年の必要経費にするのではなく、耐用年数に応じて毎年一定額を必要経費に入れます。

 自転車の耐用年数は2年、バイクの耐用年数は3年なので、それぞれ2年間または3年間にわたって必要経費にします。

 これは原則的な取扱なのですが、あとで説明する「青色申告」を行う場合には購入金額が30万円未満であれば全額をその年の必要経費にすることもできます。

(2)レンタサイクルの利用料金や駐輪場代、交通費

 自転車をレンタルしている場合にはレンタル料金が必要経費になります。

 また、配達に使う自転車やバイクを置くために駐輪場代を払う場合には、その費用も必要経費になります。

 自宅から稼働する配達エリアまで電車で移動する場合の電車代などは旅費交通費として必要経費に入れることができます。

  • 車両の修理代や検査費用

 パンクなどの故障が起きた場合の修理費用や、バイクの定期点検費用も必要経費になります。

 配達に使う車両は安全のため、日頃からメンテナンスを行い、バイクも必ず定期点検を行いましょう。

  • 車両保険や賠償責任保険など

 自転車やバイクでの万が一の事故に備えて損害保険に加入している人は多いと思います。

 バイクの任意保険や車両保険、自転車保険などは必要経費になります。

  • 配達に必要なバッグや小物類

 配達に必ず必要なものといえば配達用の保温保冷バッグです、この購入費用は必要経費になります。

 そのほか、配達に欠かせないもの、配達時にあると便利な小物類の購入費用も入ります。

 必要経費になる配達用グッズの例を挙げます。

  • スマホホルダー
  • サバイバルブランケット(断熱効果があると商品を固定)
  • モバイルバッテリー
  • 現金配達に必要な札入れやコインケース
  • 水筒
  • レインコート
  • タオル(商品を固定するために使えます)

以上のような配達に必要なものの購入代金は経費になります。

  • スマホなどの通信機器類

 ウーバーイーツの配達依頼の受注やお客様との連絡にはスマホのアプリを使います。

 配達専用にスマホを購入する場合は、購入費用の全額が必要経費になります。

 配達以外にもスマホを使用する場合には、使用割合であん分計算した金額を経費にします。

 使用割合については、合理的な割合を明らかにして計算する必要があり、配達に使用している時間を見積もって計算する方法などがあります。

 スマホの通信費も必要経費になります。

 通信費についても、配達以外にも使用している場合には、使用割合であん分計算します。

 配達時の通信用にポケットWiFiを使う場合の通信機器にかかる費用も同じく経費に入ります。

 スマホを事業にもそれ以外にも使っている場合に、事業使用割合のあん分計算をどのようにするかについて説明します。

 ほぼ毎日朝8時から夜中の12時までウーバーイーツの配達員として稼働していて、他の時間にスマホを使うことはほぼないという場合であれば事業使用割合は100%として差し支えありません。

 休憩時間にスマホでゲームをしている分は事業以外に使っているからどうなのですかと言われる方がいますが、その程度であればさほど気にする必要はないでしょう。

 週のうち4日間配達員として稼働し、残りの3日間は事業には関係ないことをしている場合はどうでしょうか。

 例えば配達にスマホを使用する時間が4日間で40時間、残りの3日間で事業以外に使用する時間が10時間だとすると、合計50時間使用するうちの40時間が事業に使用する時間なので、事業使用割合は80%という計算が成り立ちます。

  • レインコートや防寒具

 配達時に使用するレインコートは必要経費になります。

 洋服は必要経費になりませんが、防寒具や手袋などで配達のためだけに購入したものの代金は経費になります。

2 必要経費にならないもの

  • 飲食代金

 食事や飲み物のように配達するかどうかに関係なく生活に必要なものは必要経費になりません。

 配達して体力を消耗するので焼肉を食べたという場合、焼肉は配達するためだけに必要だという見方もありますが、これは事業の収入を得るための支出とは認めらず、必要経費にはできません。

  • 自宅の家賃

 事業を行うにあたって自宅を事務所として使用する場合には使用割合に応じて家賃を必要経費にできる場合がありますが、ウーバーイーツの配達の場合はこれには該当しません。

 配達員の仕事の受注はスマホのみでできるもので、事務所を必要としないので、自宅の家賃を必要経費にすることは難しいでしょう。

  • 罰金

 バイクで配達中に交通違反をして罰金を払う時、この罰金は必要経費になりません。

 罰金は必要経費にできないことが法律で定められています。

第三章 青色申告とは

 配達員の収入を「事業所得」として確定申告をする場合、一定の要件を満たせば「青色申告」という制度を使うことができます。

 所得税は、税金を納める人が自分で所得金額と税額を正しく計算して納税するという申告納税制度です。

 1年間の所得金額を正しく計算し申告するためには、収入金額 や必要経費に関する取引の状況を記録し、取引に際して作成したり受け取ったりした書類を保存しておく必要があります。

  正しく税金の計算をして納税してもらうために、一定水準以上の正しい帳簿を作成して保存し、それに基づいて申告をする人については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる「青色申告」の制度が設けられています。

 この「青色申告」以外の申告が「白色申告」と呼ばれます。

確定申告にコンピューターが導入される以前は、申告書の用紙が青色と白色の二種類ありました。

 青色申告をすると、青色申告特別控除、損失の繰越控除などいくつかの特典がありますが、そのうちウーバーイーツの配達員の事業所得に直接関係がある「青色申告特別控除」について説明します。

1 青色申告特別控除とは

 青色申告特別控除というのは、一定の要件を満たしている場合に最高65万円を所得金額から差し引くことができる制度です。

 青色申告特別控除には10万円、55万円、65万円の3種類があります。

 下の表を見てください(国税庁ホームページより引用)。

 青色申告をするだけで10万円の控除を受けられますが、正規の簿記の原則で記帳するなどの要件を満たせば65万円の控除を受けることができます。

この65万円の控除というのは、その金額を所得(売上から経費を差し引いた金額)から引くことができるということです。

 たとえば、売上が200万円で必要経費が50万円の場合、所得金額は200万円から50万円を引いた150万円になります。

 65万円の青色申告特別控除を受ける場合には、この150万円からさらに65万円を引いた85万円が事業所得の金額になります。

この所得金額をもとに税金の計算をしていきます。

 65万円の控除を使うとどのくらい税金の額が少なくなるのかをを説明します。

 課税される金額に対する税金の割合は、課税対象の所得金額が195万円以下の場合には所得税5%住民税10%の合わせて15%です。

 この場合、青色申告特別控除65万円を適用した時と白色申告の場合では、所得金額が65万円少なくなるために、納める税金の額が10万円近く少なくなります。

所得税の税率は所得金額が大きくなるほど高くなる「累進課税」となっていて、課税所得の金額が大きくなればこの差がもっと広がります。

 そう考えると青色申告のメリットは大きいのではないでしょうか。

 所得金額によって、青色申告の場合と白色申告の場合ではどれくらい納める税金の額が変わるかの目安を示しておきます。

 以下の表は、所得控除が社会保険料(健康保険、国民年金等)の
50万円のみがあるものと仮定して所得税と住民税の合計額がどのくらい変わるかを試算したものです。

2 65万円の青色申告特別控除を受けられる要件

 次の3つの条件を満たしていれば、青色申告特別控除を65万円受けることができます。

  • 青色申告承認申請書を税務署に提出している。
  • 正規の簿記の原則(複式簿記)により帳簿を作成し、貸借対照表と損益計算書を添付した確定申告書を期限内に提出。
  • e-Taxにより電子申告を行う。

 では、この3つの条件を満たすための手続等について見ていきます。

(1) 青色申告承認申請書の提出

 青色申告を行うには、「青色申告承認申請書」をあらかじめ税務署に提出しておく必要があります。

 事業を始めた年から青色申告を行うためには、開業した日から2ヶ月以内に青色申告承認申請書を提出します。

 事業を開始した日というのは、ウーバーイーツの配達員の場合でしたら、最初の配達を行った日ということになりますので、その日から2ヶ月以内です。

 開業してから2ヶ月以上経っている場合や前年以前にすでに事業を始めている場合には、青色申告を行おうとする年の3月15日までに申請書を提出すれば提出した年から青色申告ができます。

 2022年3月15日までに申請書を提出すれば、2022年分の所得税から青色申告となるので、その翌年の2023年3月に確定申告する際は青色申告が適用されます。

 青色申告承認申請書の用紙は国税庁ホームページからダウンロードしたり税務署の窓口で入手することができます。

 また「開業freee」などの、会計ソフトが提供している、開業時に提出する書類が作成できる無料のシステムがweb上で公開されているので、そういったものを使うことと比較的簡単に開業届や青色申告承認申請書などの書類作成することができます。

(2)正規の簿記の原則による帳簿の作成

 市販されている会計ソフトに必要項目を入力すれば、正規の簿記の原則(複式簿記)による帳簿の作成が可能で、確定申告に添付する貸借対照表と損益計算書も作ることができます。

 手書きでこの帳簿を作るためには簿記の知識が必要ですが、会計ソフトを使えば詳しい簿記の知識がなくても入力することができます。

  •  e-Taxによる電子申告

青色申告をe-Taxで行うためには、マイナンバーカードとカードの情報をパソコンに読み込むためのカードリーダーが必要です。

電子申告を行う際には、まず最初に電子申告の開始届を提出します。

この開始届はオンラインで提出することができ、国税庁のホームページ上に用意されているフォームに住所・氏名などの必要項目に入力して送信することで、e-Taxを行うための利用者識別番号を取得できます。

その後に会計ソフトや国税庁ホームページの申告書作成コーナーで作成した確定申告書を送信します。

青色申告の65万円の控除を受けるためには申告期限の3月15日までに確定申告書を提出する必要があるので、その点には注意が必要です。

第四章 会計ソフトで帳簿を作成する

 収入と経費を帳簿に記録するためには、日々の売上や経費をノートに手書きで記録することやエクセルなどの表計算ソフトを使うこともできます。

 しかし、青色申告を行って65万円の控除を受けるためには、正規の簿記の原則の則った帳簿を作成する必要があり、そのためには会計ソフトを使うのが近道です。

会計ソフトがあれば詳しい簿記の知識がなくても青色申告をすることができます。

よく使われているソフトとしては、弥生会計、freee、マネーフォワードといったものがあります。

 それぞれに特徴があり、簿記の知識がない人、初めて使う人にも使いやすいような工夫がされています。

 会計ソフトの中にはレシートや領収書をスマホのカメラで撮影すると自動で取り込む機能が備えられているものもあり、そういった機能を使えば楽に入力することができます。

 会計ソフトに売上や必要経費の金額を入力することで、帳簿が自動作成され、確定申告に必要な書類を編集することもできます。

1 開始残高の入力

事業を始める時に、現金や預金、減価償却資産などの資産がいくらあったのかを登録します。

 登録するのは事業に使用するものだけなので、事業に使用する銀行口座の残高は登録しますが、プレイべーとだけで使っているものは登録の必要がありません。

 青色申告の65万円の控除を受けるために必要な貸借対照表の作成に必要ですので、最初に登録しておきます。

2 売上金額の入力

現金を扱わない場合は配達員用アプリに表示される売上金額が1週間ごとに集計されて銀行口座に振込まれます。

現金配達を行う場合は、お金の流れが複雑になります。

配達員が受け取る金額が回収した現金より多い場合はその差額が振込まれ、逆に回収した現金の方が受け取る金額より多い場合は、その差額を配達員がウーバーに支払います。

このお金の動きを会計ソフトに日々入力することで確定申告に必要な帳簿が作成できます。

毎日これを入力するのは相当な手間がかかります。

毎日現金出納帳に記入して現金の残高を確認し、会計ソフトに入力して、ということができればいいのですが、配達してくたくたになって帰ってきて、そこまで手が回りません。

でも、心配しないでください。

そのような複雑なお金の動きを追わなくても正確な売上金額を知る方法があります。

幸い、ウーバーイーツの配達に関する記録はすべてアプリ内でデータとして保存されていますので、それを使えば正確な売上金額がわかります。

配達員のアプリでは週単位で売上が表示され、支払いも週単位ですので、その金額を会計ソフトに入力すれば、正確な売上金額を申告することができます。

これは、会計ソフトを使わずに手集計する場合も同じです。

現在は、スマホのアプリ上で1年間の売上金額を週ごとに確認できる機能がありますので、それを利用すれば簡単に売上を計算できます。

3 必要経費の入力

必要経費は「勘定科目」という項目を使って入力します。

  • で説明した必要経費になる支出を領収書などから一枚ずつ入力していきます。

会計ソフトの中にはスマホのアプリでレシートを撮影すると自動的に取り込んでくれるようなものもありますので、そういったものを利用するのもいいでしょう。

ただし、基本的な機能以外を使う場合には別途費用がかかることがあります。

必要経費の入力に必要な勘定科目ごとにどういった支出があてはまるかを以下にまとめました。

【租税公課】

  • バイクの軽自動車税

【旅費交通費】

  • 自宅から稼働する配達エリアまで電車で移動する場合の電車代、バス代

【通信費】

  • スマホなどの通信料金

 配達以外にも使用する場合は、使用割合で按分計算した金額を必要経費にします。

【損害保険料】

  • バイクの自賠責保険・任意保険、自転車保険

【修繕費】

  • パンクなどの故障が起きた場合の修理費用
  • バイクの定期点検費用

 配達に使う車両は安全のため、日頃からメンテナンスを行い、バイクは必ず定期点検を行いましょう。

【消耗品費】

  • ヘルメット
  • 盗難防止用のチェーン
  • 自転車のレンタル料金
  • 配達用の保温保冷バッグ
  • スマホホルダー
  • サバイバルブランケット
  • モバイルバッテリー
  • 現金配達に必要な札入れやコインケース
  • 水筒
  • レインコート
  • 配達専用に使う防寒着や手袋
  • スマートホン

 配達専用に使う場合は全額が必要経費になります。

 配達以外にもスマホを使用する場合には、使用割合であん分計算した金額を経費にします。

【減価償却費】

  • 10万円を超える自転車、バイクの購入費用

 購入費用が10万円を超えるものは「減価償却資産」として、耐用年数に応じて数年に分けて毎年一定額を必要経費に入れます。

 自転車の耐用年数は2年、バイクの耐用年数は3年なので、それぞれ2年間または3年間にわたって必要経費にします。

 「青色申告」を行う場合には購入金額が30万円未満であれば全額をその年の必要経費にすることもできます。

【車両費】

  • 自転車、バイクの購入代金

 ただし、購入費用が10万円を超えるものは「減価償却資産」として、耐用年数に応じて数年に分けて毎年一定額を必要経費に入れます。

 領収書や帳簿書類は7年間保存しておく必要がありますので、会計ソフトに入力が終わっても、必ず保存しておいてください。

第五章 確定申告の手順

 確定申告は前年分の所得金額に基づいて税金を計算して確定申告書に記入したものを2月16日から3月15日の間に提出します。

1 確定申告書作成の流れ

 ① 売上と経費の金額を集計して「所得金額」計算する。

 ② 会社からの給料など、配達員以外の収入がある場合には、その金額を合計する。

 ③ 社会保険料、生命保険料などの「所得控除(所得から差し引かれる金額)」を計算する。

 ④ 「所得金額」から「所得控除」を差し引いた金額をもとに納める税金の額を計算する。

2 所得控除

 税金の額を計算するにあたっては、所得金額から所得控除(所得から差し引かれる金額)をひいて「課税される所得金額」を求めます。

 所得控除というのは、扶養家族がいたり、障害があったり、災害により被害を受けた場合などに、税金の計算上で個人的な事情を加味するという意味合いがあります。

 所得控除には、雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、 小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、 地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除があります。

 これらの控除について説明していきます。

 以下の説明は、大まかなものですので、これらに当てはまると思われる場合でも条件次第で対象外になることもありますので、判断に迷う場合は税務署や税理士などの専門家に相談してください。

  • 雑損控除

 災害や盗難、横領によって住宅や家財などに損害を受けた場合や、災害等に関連してやむを得ない支出(災害関連支出)をした場合に受けられます。

 所得金額の10%を超える場合や、5万円を超える災害関連支出があった場合に対象となります。

  • 医療費控除

その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費の額が一定額

を超えるときに、その超える金額が控除できます。

 一定額は、所得金額が200万円を超える場合は10万円、200万円以下の場合は所得金額の5%です。

 高額療養費や生命保険の給付金、出産育児一時金などで補てんされる金額がある場合は、その金額を差し引いて計算します。

  • 社会保険料控除

社会保険を支払った時に、その支払額が控除されます。

健康保険料、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料、労働保険料、国民年金保険料、国民年金基金の掛金、厚生年金保険料 などが該当します。

  • 小規模企業共済等掛金控除

対象になるのは次の3種類です。

  • 小規模企業共済の掛金
  • 企業型年金加入者掛金及び個人型年金加入者掛金(iDeCoの掛金)
  • 心身障害者扶養共済制度の掛金
  • 生命保険料控除

生命保険料を支払った場合、一定額が控除の対象になります。

新(旧)生命保険料、介護医療保険料、新(旧)個人年金保険料の区分に分かれていて、保険会社等が発行する生命保険料控除証明書により確認します。

  • 地震保険料控除

自宅が持ち家で地震保険料を掛けている場合などが対象になります。

  • 寄附金控除

次のような寄附金が対象になります(条件によっては対象にならない場合も

あります)。

  • 国に対する寄附金
  • 都道府県・市区町村に対する寄附金(ふるさと納税等)
  • 独立行政法人に対する寄附金
  • 日本赤十字社に対する寄附金
  • 公益社団法人及び公益財団法人に対する寄附金
  • 社会福祉法人に対する寄附金
  • 特定の政治献金
  • 認定NPO法人等に対する寄附金
  • 障害者控除

その年の12月31日現在で、以下のような精神や身体に障害のある方に対する控除です。

  • 身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳などの発行を受けている方
  • 精神保健指定医などにより知的障害者と判定された方
  • 65歳以上の方で障害の程度が障害者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている方 など
  • ひとり親控除

現に婚姻していない方又は配偶者が生死不明などの方で、次のア~ウのいずれにも当てはまる方が受けられる控除。

ア 合計所得金額が500万円以下である

 イ 総所得金額等が48万円以下の生計を一にする子がいる

ウ 事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者がいない

  • 寡婦控除

⑨の「ひとり親」に当たらない方で、次のア~ウのいずれにも当てはまる方が受けられる控除。

ア 合計所得金額が500万円以下である

 イ ・夫と死別した後婚姻をしていない方又は夫が生死不明などの方

  • 夫と離別した後婚姻をしていない方で、扶養親族がある方

ウ 事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者がいない

  • 勤労学生控除

合計所得金額が75万円以下(収入が給与のみの場合は収入130万円以下)

で、勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下である学生が受けられる控除です。

  • 配偶者控除・配偶者特別控除

生計を一にする配偶者がいる場合に、確定申告をする方本人と配偶者の所

得によって受けられる控除です。

 控除できる金額は以下の表のとおりです。

 (国税庁ホームページタックスアンサー「No.2672 年末調整で配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるとき」より引用)

  • 扶養控除

合計所得金額が48万円以下の生計を一にする親族を扶養している場合に受けられる控除です。

  • 基礎控除

合計所得金額が2,500万円以下の場合に受けられる控除です。

合計所得金額が2,400万円以下の場合の控除額は一律48万円です。

3 確定申告書の作成及び提出方法

確定申告を行うためには、「確定申告書」と「青色申告決算書」(青色申告の場合)または「収支内訳書」(白色申告の場合)を作成しなければなりません。

作成する方法としては、①税務署から用紙を取寄せるか国税庁ホームページからダウンロードしたものを印刷して手書きする、②国税庁ホームページ内にある「確定申告書作成コーナー」に必要事項を入力する、③会計ソフトを利用して作成する、という3通りがあります。

手計算で申告書を作ろうとすると計算が複雑でたいへんですが、国税庁ホームページの「確定申告書作成コーナー」では必要な項目を入力すると自動計算してくれます。

白色申告の場合や、青色申告で10万円の控除だけを受けるという場合には、これを利用するのが費用も手間が一番かからない方法と言えるかもしれません。

青色申告で65万円の特別控除を受ける場合には、会計ソフトを使って複式簿記の帳簿を作成するのがいいでしょう。

提出方法については、手書き又は紙に印刷したものを税務署に持参するか郵送、あるいはe-Taxのシステムを使って電子申告をするかのどちらかの方法があります。

確定申告の提出にあたっては、国税庁ホームページで最新の情報を確認することをおすすめします。

(青色申告決算書の記載例)

(白色申告の場合の収支内訳書の記載例)

 詳しい記載のしかたは国税庁ホームページにありますので、そちらを参考にしていただくといいでしょう。

第六章 質疑応答事例

【質問1】

 昨年4月から配達員をしていますが、まだ確定申告をしていません。

 今からでも確定申告はできますか。

 確定申告は2月16日から3月15日の間しか提出できないのでしょうか。

【回答1】

 今からでも確定申告の提出はできます。

 確定申告の期間は、2月16日から3月15日となっていますが、その期間を過ぎても税務署では確定申告を受付けてくれますので、早めに提出してください。

 ただし、申告期限を過ぎているので「期限後申告書」という扱いになり、納める税金の額によっては、ペナルティとして税金の額が加算される場合があります。

【質問2】

 会社員をしながらウーバーイーツの配達員をしています。

 会社からの給料は勤務先で年末調整をしているので、確定申告書には配達員の収入だけを記入すればいいですか。

【回答2】

 確定申告をするときには、1年間の収入をすべて合算する必要があります。

 年末調整が済んでいる場合でも、配達員の収入と会社からの給料の収入の両方を足して税金の計算をします。

 給与収入は会社からもらった源泉徴収票の内容をもとに記入します。

【質問3】

 確定申告をしたあと、所得税をどのように納付するのですか。

 税務署から支払の通知などが来るのでしょうか。

【回答3】

 税務署から通知などが来ませんので、確定申告書で計算した所得税の額を期日までに納付します。

 納付方法は以下のものがあります。

(1) 指定した金融機関の預貯金口座から振替納税する方法

納税の期限までにあらかじめ口座振替の依頼書を提出すると、4月半ばごろの決められた日に口座から引き落とされます。

(2) インターネット等を利用して電子納税する方法

  利用する場合は事前に開始届出書の提出等が必要となります。

(3) クレジットカードで納付する方法

インターネットを利用して「国税クレジットカードお支払いサイト」から納付できます。

(4) コンビニエンスストアで納付する方法

国税庁ホームページの作成システム等から納付に必要な情報をQRコードとして印刷し、コンビニエンスストアで納付できます。

(5) 現金で納付する方法

現金に納付書を添えて、納税の期限までに金融機関で納付します。

納付書は税務署又は所轄税務署管内の金融機関(置いてない金融機関もあります)でもらえます。

【質問4】

節税するには何かを買って経費を増やせばいいと聞いたのですが、どのようにすればいいでしょうか。

【回答4】

 確かに、経費が多くなると所得が減るので、納める税金も減ります。

 しかし、節税のために経費を増やすのは本末転倒です。

 仕事に必要なものを購入した時には経費にすればいいのですが節税のためにあまり必要ではないものを買っても、税金が減ったとしても手元に残るお金も少なくなります。

 例えば10万円のものを買って経費に入れると、税率が30%なら税金が3万円減りますが、手元に残るお金も10万円少なくなっています。

 ですから、無駄に経費を使って節税するというのは効果的ではありません。

 節税したいからといって事業に関係ないものを買ってなんでも経費に入れていると脱税になるのでお気をつけください。

【質問5】

 確定申告で納める所得税以外に住民税もかかるのですか。

 住民税の申告も必要なのですか。

【回答5】

 確定申告をして納税するのは所得税です。

 確定申告の内容に基づいて、住民税が決定されます。

 住民税の通知は6月くらいに届きます。

 税務署に確定申告をすれば住民税の申告を別途提出する必要はありません。

【質問6】

 確定申告書を提出した後で間違いに気づいたときはどうすればいいですか。

【回答6】

 確定申告の期限(3月15日)までに再度訂正後の確定申告書を提出すれば、あとから出した方の書類が有効とされますので、申告期限までに間違いに気づいたときは、期限内に正しい内容の申告書を提出しましょう。

 e-Tax(電子申告)で送信する場合は、訂正したものを再度送信します。

 申告期限が過ぎてから訂正する場合は別の手続きが必要です。

 納める税金の額が増える場合は「修正申告」、納める税金の額が減る場合は「更正の請求」という手続きを行います。

【質問7】

 配達先のお客様から現金でチップを受け取りました。

 このチップは売上になりますか。

【回答8】

 チップも売上になります。

【質問8】

 ウーバーイーツ配達員の今年の売上はどこで確認すればいいですか。

【回答8】

配達員アプリで確認できます。

確認方法は以下のとおりです(2021年12月末現在)。

1 メニュー画面で「売り上げ」をタップします。

2 売り上げ画面で「詳細を見る」をタップします。

3 画面一番上の「12月20日-12月27日」という日付の部分をタップします。

4 「週の選択」画面になり、週ごとの売上を過去にさかのぼって見ることができます。

1 「売り上げ」をタップ

2 「詳細を見る」をタップ

3 「12月20日-12月27日」の部分をタップ

4 週ごとの売上が一覧で見れます

【質問9】

 会社員をしていて、副業でウーバーイーツの配達員をしていますが、配達員収入は年間20万円以下なので申告はしないつもりです。

 医療費が10万円を超えたので医療費控除の確定申告だけを行いますが、これは問題ありませんか。

【回答9】

 確定申告をする場合には、すべての所得を申告する必要があります。

 給与所得が20万円以下の場合は確定申告が不要となっていますが、医療費控除を受けるためなど、確定振興をする場合には、20万円以下の所得も含める必要があります。

【質問10】

 減価償却費の計算は青色申告と白色申告で何が違うのですか。

【回答10】

 青色申告の場合は30万円以下のものは「少額減価償却資産」として、その年に全額を経費にすることができます。

 白色申告の場合には、10万円以上20万円未満の場合は、「一括償却資産」として、3年間で均等に償却します。

 20万円以上のものは通常の耐用年数に応じて償却します。

【質問11】

 電車代やバス代など、公共交通機関を利用した場合の交通費は領収書が出ません。

 こういったものは経費にならないのですか。

【回答11】

 電車やバスなどの公共交通機関を利用した場合には、領収書がなくても経費にすることができます。

 公共交通機関を使った日付、乗車区間、運賃を記録しておきましょう。

【質問12】

 事業所得は経費を使うと節税になるからどんどん経費を使うといいと聞いたのですが、どんな経費を使えばいいですか。

【回答12】

 まず、経費になるのは事業に直接関係のあるものに限られますので、事業に関係ないものをいくら買っても経費にはなりません。

 また、事業に必要なものを多めに買って経費を増やしたとしても、所得が減るので納める税金は少なくなりますが、その分手元に残るお金も少なくなるので、賢いやり方とは言えません。

 節税のために経費を増やそうとする場合には、本当にそれが必要なのかを考えてみることをおすすめします。

【質問13】

 会計ソフトを使って申告の書類を作成するときに、減価償却費を入力するにはどのようにすればいいのですか。

【回答13】

 購入日に取引の仕訳入力をしたうえで、「固定資産台帳」に登録します。

 例えば9月1日に30万円のバイクを配達用に現金で購入したとします。

 まず取引日に「車両」の購入があったとして仕訳をします。

 9月1日 車両 300,000円 / 現金 300,000円

 会計ソフトには「固定資産台帳」という項目があるので、そこに登録します。

 「freee」の場合の固定資産台帳登録画面を次のページに載せていますので参考にしてください。

【質問14】

 確定申告書の提出期限に間に合いそうにありません。

 どうすればいいでしょうか、もし期限に遅れたらどうなりますか。

【回答14】

 確定申告期限に遅れた場合は、納める税金の額によっては「加算税」「延滞税」といったものが本来納める税金に加えてかかる場合があります。

 また、青色申告特別控除の65万円が適用できるのは期限内に確定申告書を提出した場合だけなので、その分納める税金が増えることもあります。

 電子申告の場合は3月15日中に送信したものが有効で、郵送の場合は3月15日の消印があれば有効です。

 また、税務署の夜間ポストに3月15日中に投函する方法もあります。

 どうしても間に合わない場合でも、期限が遅れても受付はしてもらえるので、できる限り早めに提出するようにしましょう。

【質問15】

 確定申告の時に経費の領収書などもすべて提出するのですか。

【回答15】

 経費の領収書などは提出する必要がありません。

 領収書など、確定申告の計算の基になった書類はご自身で保管しておき、税務署から問い合わせがあった際などには確認できるようにしておく必要があります。

 帳簿の保存が必要な期間は7年間となっていますので、その期間は保管しておくようにしましょう。

【質問16】

 副業でウーバーイーツの配達員をしています。

確定申告をしても会社に副業がばれない方法はありますか。

【回答16】

 会社員の方は会社の給料から住民税が天引きされるので、配達員の報酬分の税金が住民税に含まれているとそこで会社に知られる可能性があります。

 配達員としての収入分の住民税を会社の給料からの天引きではなく、自分で別に納めることもできるので、そうすれば会社に知られる可能性は低くなります。

方法は、確定申告の際に住民税の支払い方法で、「自分で納付」の欄にチェックを入れておくだけです。事前にお住いの市区町村にも確認しておく方が確実です。

ただし、絶対にバレない方法というのはなくて、どんなところから会社が知ることになるかわかりませんので、その点は考えておく必要があると思います。

【質問17】

 ふるさと納税ができる上限はどうやって計算すればいいですか。

 上限額をシミュレーションできるふるさと納税のサイトがありますが、事業所得の場合にも使えますか。

【回答17】

 実はふるさと納税ができる金額に制限はないのですが、「ふるさと納税の上限」という言葉が使われることがあります。

 これは2,000円の負担で返礼品がもらえる上限という意味で使われています。

 たとえば、上限と呼ばれる金額の範囲内でふるさと納税をした場合、返礼品を提供している自治体に32,000円の寄附をすると、負担額2,000円で最大約9,000円相当の返礼品がもらえます。

 もし、上限額が20,000円だった場合には、32,000円寄附した場合の負担額は12,000円になるので、9,000円相当の返礼品をもらっても、負担額の方が3,000円多くなります。

 ふるさとう納税のサイトで提供されているシミュレーション機能はこの上限額を計算するものですが、多くは給与収入を基に計算するようになっています。

 給与収入の金額のところに事業所得の金額を入れると異なった計算結果が出るので注意が必要です。

 一部には事業所得に対応したシミュレーション機能を提供しているサイトもあるので、そういったものを使うといいでしょう。

 ふるさと納税についての正確な情報を得るには総務省のホームページがおすすめです。

【質問18】

 消耗品を通販サイトにてカード払いで購入しました。

 領収書がありませんが、クレジットカードの明細は領収書の代わりになりますか。

【回答18】

 クレジットカードの明細書は領収書にあたりませんので、通販サイトから領収証や請求書をダウンロードするなどして保存しておいてください。

 どうしても領収書を入手できない場合は、購入品目や購入先がわかるように帳簿やカード明細などに記入しておいてください。

 領収書がある場合でも、領収書とカード明細の両方を保存しておくようにしてください。

【質問19】

 個人事業主であれば、事業専用の銀行口座やクレジットカードを作った方が良いのでしょうか。

【回答19】

 青色申告を行って65万円の特別控除を受けるためには正規の簿記の原則に従って帳簿を作成する必要があります。

その際には、一つの口座に事業用とプライベート用の入出金が混ざっていると処理が大変になります。

そのため、事業専用口座があった方が便利です。

わざわざ新しく口座を作らなくても、今使っている口座を今後は事業専用にするということでもかまいません。

【質問20】

 2022年1月にA市からB市に引っ越しました。

 2021年分の確定申告書はどこに提出すればいいのでしょうか。

【回答21】

 確定申告書の提出先は現在住んでいる住所地を管轄する税務署です。

 確定申告書を提出する時点でB市に住んでいれば、B市を管轄する税務署に提出します。