税理士に報酬を支払う時の源泉徴収

2024年09月06日


 事業を行っている方が税理士に報酬を支払う場合、支払の際に源泉徴収が必要な場合があります。

 源泉徴収というのは、税理士に対する報酬から一定額を所得税として差し引き(源泉徴収)、その金額を税務署に納めるものです。

 源泉徴収は、報酬を支払う側にその義務があります。


1 源泉徴収が必要な場合

 源泉徴収が必要なのは、次の(1)と(2)のどちらにも当てはまる場合です。

(1)支払う側が法人又は源泉徴収義務者である個人

 源泉徴収義務者である個人というのは、従業員やアルバイトに対して給与を支払ってい   る個人事業主です。

 従業員には青色事業専従者も含まれます。

 個人事業主で従業員やアルバイトを雇っておらず、家族を事業専従者にしていない場合は税理士に報酬を支払う場合に源泉徴収の必要はありません。

(2)支払を受ける側が個人の税理士

 源泉徴収が必要なのは個人に対して支払いを行う場合で、法人に対する報酬の支払いには源泉徴収の必要がありません。

 税理士法人に対する報酬の支払いは源泉徴収の対象外となり、個人の税理士に対して支払う場合のみ源泉徴収が必要です。


2 源泉徴収税額の計算

 源泉徴収を行う際の税率は10.21%です。

 たとえば、税理士報酬30,000円、消費税3,000円の合計33,000円を支払う場合の源泉徴収税額と税理士に支払う報酬額、帳簿に記載する際の仕訳は次のようになります。

(1)源泉徴収税額

30,000円×10.21%=3,063円

(2)税理士に支払う報酬額

33,000円-3,063円=29,937円

(3)帳簿に記載する際の仕訳

報酬を現金で支払う場合は次の仕訳になります。

支払手数料 33,000円/現 金 29,937円

            預り金      3,063円

 報酬額に消費税等の額が含まれているときは、原則として、その消費税等の額を含めた金額を基に源泉徴収をしますが、司法書士や税理士等からの請求書等において、その報酬等の額と消費税等の額が明確に区分されている(消費税等の金額が記載されている)場合には、消費税等の額を控除した金額を基に源泉徴収しても差し支えありません。

 上記の計算例は、消費税が明確に区分されているものとして、消費税額を含めない金額で源泉徴収税額を算出しています。

 

3 源泉徴収税額の納付

 源泉徴収税額については、従業員の給与の源泉徴収税額と一緒に税務署に納付します。

 原則は支払った翌月10日までに納めます。

 従業員の数が10人以下で税務署に「源泉所得税の納期の特例」を申請している事業者の方は、7月と1月の年2回、半年分をまとめて納付します。

 納付の際は、以下の記載例にあるように納付書(徴収高計算書)を作成してe-Taxで提出、または金融機関の窓口で納付します。



 e-Taxで手続きをする場合には、徴収高計算書を送信した後、インターネットバンキングやダイレクト納付(事前に手続きが必要)などで納付します。